3人で行くパワースポットお伊勢参りと飲み歩き
前日まで
「今度の土曜日空いてます?伊勢って行ったことあります?」と連れからラインが入ったのはクリスマス前の土曜日だった。この聞き方はどうせ暇でしょ?どっか行きましょうや!という含みが強い。当然予定もないので即OKを出すと話はトントン拍子に進んで行った。伊勢への行き帰りの電車代とお得なチケットがついて3千円ちょっとという格安プランを見つけたとのことで、もう一人も誘って久しぶりに伊勢へと出かけることにした。
ちょうど、その日の夜グーグルフォトから「1年前はこんなことしてました」という通知があった。どうやら昨年のクリスマスは1人で京都をぶらぶらし飲み歩いていたらしい。それに比べたら今年は少しマシなクリスマスウィークとなりそうだった。
AM 9:00
当日の集合は朝9時に名古屋駅金時計の下。土曜日の朝ということで時計の周りは待ち合わせの人で溢れていた。すでに2人とも家を出ていることはSNSで確認が出来ている。1人は名古屋に向かう電車の中でスパークリングワインを飲んでいて、もう1人は駅近くの市場にある定食屋で瓶ビールで飲んでいた。自分の周囲にはこういう人が多く、これからみんなで飲みに行くというのに必ずどこかで飲んでくる。極度の人見知りだというが、もう10回以上一緒に飲んでいる。
9時になり金時計を見上げていると2人が近寄ってきた。待っている間、まじまじと時計を見ていたら、文字盤のすぐ下に「JR GATE TOWER ←」反対側は「TOWERS ←」という標識がついていた。何回もこの場所で待ち合わせをしてきたけど、これについては全く知らなかった。待ち合わせだから普通の人は相手を探していることが多いので文字盤を眺めるような人はほとんど居ない。ここに行くことがあれば一度は時計を見上げてみて欲しい。
行きと帰りの切符を幹事から受け取り、ホームへと向かう。最初は閑散としていたホームも乗る電車が着く頃には多くの人で賑わっていた。電車を待っている間、前回3人で飲んだことを思い出し、その日別れた後に起こった出来事を各々報告しながら雑談していた。前回は大須に新しくできた「ヘム」というアジア系せんべろ立飲み居酒屋で1分10円という飲み放題プランで3人とも撃沈した。
電車に乗ると、誰となくホームのキオスクで買った缶ビールを開け始める。休日とはいえ公衆の面前での朝から飲酒は背徳感がある。でもこれが「でんしゃ旅」醍醐味であって楽しい瞬間だ。酒飲みにはアルコールと少しの乾きものがあればどんな場所でも居酒屋と化す。軽くビールで喉を潤した後、1人がリュックから当然のように日本酒を出した。用意周到に小さな紙コップが配られて乾杯する。まだ旅は始まったばかりだというのに日本酒なんて飲んで大丈夫だろうか?その後、もう一本の日本酒をほぼ飲みきったところで伊勢市駅に到着した。
AM 11:00
駅に着いた時には3人の完全な酔っぱらいが出来上がっていた。駅の窓口で「伊勢鳥羽 みちくさきっぷ 1DAY」 をもらい内宮行きのバスへと乗り込んだ。このきっぷは1200円で伊勢二見鳥羽の各観光施設を周遊する乗り降り自由なフリーきっぷ。施設割引券もついているので、お得に鳥羽や伊勢を観光できる。今回はこれも予算の中に含まれているという。
伊勢神宮のバス停に着き内宮の方に向かおうとすると「入るんすか?」との一言。連れの1人はそのまま「おかげ横丁」で食べ歩きをするつもりだったらしい。取り敢えず軽くお参りだけでもと言って、宇治橋を渡って中に入ったが歩くスピードが早い・・。厳かな感じは全く無くお参りは作業と化していた。途中遅れながらも何枚かの写真を撮り、伊勢神宮の参拝は一瞬で終わった。それからおかげ横丁へ移動しふらふらと歩きだした。
PM 12:30
伊勢角屋麦酒内宮前店
神宮の方から歩いて100mくらい進むと現れる伊勢角屋麦酒。クラフト麦酒とカキフライのTO GOをしていて店内の飲食スペースや食べ歩きをすることができる。伊勢角屋ビールのクラフトビールが何種類か用意されており、カキフライは揚げたて熱々で提供されるので火傷に注意した方が良い。付け合せのタルタルソースをたっぷりと付けてたべると、ほとんどの人は笑顔になるはずだ。
伊勢角屋麦酒は、1997年にクラフトビールづくりを始めた。「伊勢のビール」として最高峰のビールを作るという熱い想いがあるそうで、伊勢角屋麦酒の社長自身が、40歳を過ぎてから三重大学大学院に入学し、酵母などに関する博士号を取得したらしい。彼はビール作りは経験や勘、情熱では作れず自然科学領域の知識が必要と言っている。アルコール全般は単純な食品製造ではなく、もはやものづくりの域に達しており、失敗を繰り返しながら、より消費者に好まれるものを追求し続けていくというプロダクトのよう。(引用: 伊勢角屋麦酒HP)
基本情報
- 店名 : 伊勢角屋麦酒 内宮前店
- 住所 : 三重県伊勢市宇治今在家町34
- 営業時間 : 11:00-20:00
- 定休日 : なし
- 予算 : 1,000円以下
軽く腹ごしらえをして、またふらふらと歩く。おかげ横丁にはたくさん食べ歩きが出来る店があるので参拝客は少し歩いては止まって、また歩き出しては止まってを繰り返し、ゆっくりと観光を楽しんでいた。前日の予報では風も強くかなり寒くなるという話だったが、空はすっきりと晴れ、ポカポカ陽気となり、横丁には家族連れやカップルの笑顔が溢れていた。
金宮をベースにしたホット緑茶ハイのワゴンが出ていたので連れの1人が買っていた。作る工程を見ていたが金宮7に緑茶3くらいの割当で作っていて、ネーミングとは裏腹に悪い飲み物と化してる。飲んだ人は酔っぱらいレベルが3くらいアップしてしまい、駅までの戻りのバスでは爆睡。その後はそれぞれ酒屋で飲み比べセットを買ってみたり、甘いものを食べたりしてブラブラ。豚捨のメンチカツを食べたかったけど長蛇の列で諦めた。
PM 2:00
そろそろ酒場の開く時間ということで駅までバスで戻る。途中1名は車中爆睡モードとなり、手にしていた緑茶ハイを車内に落としてぶちまけてしまい粗相。自分は駅に着くまでずっと窓の外を眺めながら何かを考えていた。いつものことだが何を考えていたのかは全く覚えていない。しばらくして駅に到着し一旦外宮の参道に向う。この旅行プランでは外宮周辺の飲食店で使えるチケットがあり、より一層酔っぱらいレベルがアップする前に使ってしまおうと、予め調べておいたこちらのお店へ。
若松屋 外宮前店
連れが美味しいよと教えてくれた「ひりょうず」内宮でもお店があったけど、こっちの店ならばチケットを使ってタダで食べられると教えてくれた。自分1人の旅行ではこういうことを自分で調べなければいけないが、(あたりまえだが)連れにこういうことを細かく調べてくれる人がいると非常に楽。酔っ払っていても、半分寝ていても、お得にどこにでも連れて行ってくれる。ここ「伊勢かまぼこの若松屋」は明治38年の創業でかまぼこなどの練り物作りと販売をするお店。伊勢志摩で獲れる新鮮な魚を使って作っているそう。
ひりょうずとは関東でいうがんもどきのことで何種類かの野菜が練り込まれ揚げられている。ひりょうずには9種類もの素材が練り込まれていて、アツアゲニストの自分としてはド・ストライクな食べ物。ちなみに素材はこんな感じ。
これだけの素材が入っているので女性の拳くらいの大きさがあり、1つ食べれば大満足でお腹いっぱいになる。一口食べるごとに新しい素材が現れ、口の中が違った味・食感が広がっていく。連れの1人はとなりの伊勢角屋麦酒でビールを買い、飲みながら「きくらげ入ってる!ほらひじきも!あっ!わかめ!!」と中身の実況をしながら頬張っていた。帰ってきてこの記事を書いているときに気がついたが、伊勢角屋麦酒も若松屋も豚捨もこの一角に支店があるようでそれぞれの外宮前店は空いているのでこちらを周るのもおすすめだと思う。
基本情報
- 店名 : 若松屋 外宮前店
- 住所 : 三重県伊勢市本町13−6
- 営業時間 : 9:00-18:00
- 定休日 : なし
- 予算 : 1,000円以下
お腹もいっぱいになったところで一軒めの酒場へと向かう。駅から少し離れた場所にあり、途中かなり年季の入ったアーケード商店街を通る。初めてみた「結納屋」このご時世でもまだ結納をちゃんとしてから結婚式をするカップルがいるのだろうか?少しあるいただけで2−3件の結納屋があったのは、伊勢神宮が近いからかも知れない。裁判所の近くには弁護士事務所、免許センターの周囲には行政書士事務所が多いように・・・謎だけど。
アーケードを抜けるとそこには住宅街があったこんな場所にありながら名古屋や東京でも名が知れている居酒屋に期待が膨らんだ。
PM 3:00
三重伊勢「一月家」
引き戸を開けると店内は大賑わい。こんな住宅街にある居酒屋で多くの方が昼飲みをしているなんておおいに楽しくなってきた。壁にかかるメニューを見るも価格表示は無く少し心配になったが、今日は3人いるので何とかなる・・・連れの財布もあてにして色々と注文した。
そのうちの一つがこの「ふくだめ」柔らかく煮込まれていて、肝もぷりんぷりんで美味しい。評判どおり昼から飲める魚介類がおいしくとても居心地の良い場所。一品づつの価格はわからないので不安になるかもしれないけど、食べて飲んで3人で8千円弱。昼は14:30から営業しているし、お伊勢参りのコースの一つとして入れることオススメです。
店を出たのは16時過ぎ、街を歩く人はほとんど無く、車もまばらだった。だんだんと日が暮れ始めていて、そろそろ終わりが近づいているよと空が3人に知らせているようだった。しかし完全に仕上がっている3人はそんなことを気にするはずも無く次の店へ吸い込まれていった。
PM 5:00
三重伊勢「ぎょうざの美鈴」
店に入り取り敢えず瓶ビールを注文する。餃子屋らしからぬメニューが壁にたくさん貼ってあったが、餃子が焼けるまでから揚げを頼んで食べていた。街は閑散としているのに店内は異様な活気に溢れていて次から次へと餃子の皮が作られ餡が包まれていく。その光景を見ているだけでも面白い。まるでパフォーマンスキッチンのようだった。
1人前は大きな餃子が8個で正統派の餡。にんにくも当然入っていて、つきなみではあるけど、一口かじると肉汁があふれてくる。最近は餡の中にあらかじめスープを固めたようなものを仕込んで「肉汁餃子」なんて宣伝している店が多いが、この店の餃子は真の肉汁が大げさではなく、しっかりと出てくる。噛む事に肉の弾力を感じて、にんにくと野菜がとても良いバランスになっている。うん、好きなタイプの餃子だ。この量でこの値段ならふらっと寄って餃子一皿と瓶ビールを飲んでさっと帰るなんてもありだと思う。
どのくらい店にいたか全く覚えていないが、帰りの電車に間に合わせるために店を出なければいけない時間だった。歩くと15分くらいはかかる道のり。すっかり酔っ払っているので連れの1人がタクシー拾いますか?と持ちかけてきた。ちょうどバス停の前でそんな話をしていたら、市バスが止まり、開いた扉から「駅!駅ぃ?いきますかぁーー?」訪ねた。駅に向かうタイミング良く来たバスに乗り込むと、各々がもう必要でなかったかもしれない「みちくさきっぷ」を探し出す。「あっ・・・あった!」「これ差し出せばいいの?」「差し出すじゃなくて見せるでしょ?」そんなやり取りをしているとあっと言う間に駅のロータリーにバスが到着した。
PM 6:00
帰りの電車の中の約2時間は、1人は崩れるように眠り、2人は結構まじめな話をずっとしていた。窓の外はすっかり暗くなっていて、街のあかりが流れるように現れては消えてを繰り返す。何かが起きるけど、時間が経つと必ず消えていく日々の生活もそんなことの繰り返しだよなと相手の話を聞きながら思っていた。
急行電車が名古屋駅に滑り込む少し前、各々がSNSをチェックし始める。どうやら知りありが駅のの近くで飲んでいるらしく、そこに行こうよと誰かが言い出す。
名駅近くの串揚げ屋で少し飲んでこの旅は終わりとなった。
あとがき
こういう場所にはあまり1人では行かないですが、誰かに誘ってもらえると楽しく過ごせるスポットですね。以前「一月家」もトライしたのですが、開店まで1人で時間を潰すことが出来ずに帰ってきてしまいました。今回行くことが出来て良かったです。
次回の目的地は飛騨高山。こちらも食べ歩きや飲み歩きが出来るらしいので楽しみです。朝一、行きの電車の中から酒盛りが始まると思いますが、もし行きたい人がいればぜひご一緒に!