立石江戸っ子の意思を引き継ぐもつ焼き屋
立石の街角を歩いていると、どこか懐かしい空気に包まれる。昭和の匂いを残すこの下町で、再開発の波は容赦なく古き良き店々を飲み込んでいった。かつて「立石の関所」とまで言われた名酒場「江戸っ子」も、その一つ。1963年創業から約60年、立石の呑兵衛たちの心の支えだった老舗が2023年7月29日に幕を下ろした。
しかし、その後数ヶ月が経って江戸っ子で腕を振るっていた料理人が、その意思を受け継ぎ新たな店を構えたのだ。それが東立石3丁目にある「ご縁球」である。江戸っ子の魂が、新しい形で生まれ変わった。
店の雰囲気
暖簾をくぐると、そこは下町の酒場そのものの空間が広がっていた。まずは「ご縁球ハイボール」を注文。グラスに注がれた琥珀色の液体を一口含むと、程よい炭酸が喉を刺激して、今日一日の疲れがスッと抜けていく感じがする。これはいわゆる「下町ハイボール」今はなき江戸っ子と同じ味で嬉しかった。

程よい炭酸が喉を刺激する「ご縁球ハイボール」400円
一息ついてメニューをじっくり眺める。もつ焼きの種類が豊富で、値段も良心的。どれにしようか迷っていると、店員の方が「何にしましょうか」と声をかけてくれる。結局、テッポーたれとカシラ塩を注文することにした。
程なくして料理が運ばれてきた。皿に盛られたもつを見た瞬間、見た目からして美味そうで、香ばしい匂いが食欲をそそる。

噛むたびにもつの旨味が口の中に広がっていく「テッポーたれ」400円
テッポーたれは、名前の通り串に刺さっていないスタイルのもつ焼き。箸で一口大に切って口に運ぶと、まず驚くのがその柔らかさだ。歯がスッと入って、噛むたびにもつの旨味が口の中に広がっていく。タレの濃厚さも絶妙で、甘辛い味付けがもつの臭みを完全に消し去って、代わりに深いコクを与えている。これは酒が進む味だ。ハイボールとの相性も抜群で、タレの濃さを炭酸がさっぱりと洗い流してくれる。

特有のコリコリとした食感が楽しい「カシラ塩」400円
続いてカシラ塩。こちらは塩焼きの醍醐味を存分に味わえる一品だ。カシラ特有のコリコリとした食感が楽しく、噛むたびに肉の旨味がじんわりと滲み出てくる。塩だけのシンプルな味付けだからこそ、素材の良さが際立つ。脂身と赤身のバランスも良くて、最後まで飽きることなく食べられる。これもまたハイボールが欲しくなる味で、塩気と炭酸の組み合わせは本当に最高だ。
江戸っ子の魂がしっかりと引き継がれた味に感動しながら、最後の一口まで堪能した。また近いうちに顔を出したくなる、そんな店だ。読者の皆さんも立石界隈に足を向けることがあったら、ぜひ一度訪れてみてほしい。
この店のまとめ
- 元江戸っ子の店員が経営
- 串に刺さっていないもつ焼き
- リーズナブルな価格設定
- 江戸っ子と同じ味の下町ハイボール
基本情報
- 店名:ご縁球(ごえんだま)
- 住所:東京都葛飾区東立石3-36-1
- 電話番号:非公開
- 営業時間:15:30~21:00
- 定休日:日曜日・月曜日
- 予算:1,000円~2,000円
- 駐車場:なし
ギャラリー
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