知る人ぞ知る下町の名酒場
墨田区の八広界隈は、昔ながらの激渋居酒屋がひしめく酒飲みの聖地である。「亀屋」や「丸好酒場」「日の丸酒場」といった名店が軒を連ね、はしご酒には事欠かない。どの店も店員は全員女性で、ちゃきちゃきした下町の雰囲気が心地よい。そんな激戦区にあって、ひときわ渋い存在感を放つのが曳舟の「岩金」だ。
この店は昭和24年創業という老舗。佇まいから一見さんには少しハードルが高そうに見えるが、中に入れば温かく迎えてくれる下町の大衆酒場である。京成曳舟駅から歩いて5分ほどの立地で、夕方になると仕事帰りの常連客や地元の人々で賑わいを見せる。
店の雰囲気
引き戸を開けて店内に足を踏み入れると、昭和の匂いがプンプンと漂ってくる。カウンター席とテーブル席合わせて10席ほどの小ぢんまりとした空間に、年季の入った調度品が所狭しと並んでいる。壁には手書きのメニューが貼られており、どれも庶民的な価格設定で財布に優しい。

氷なしのグラスに注がれる「下町ハイボール」400円
席に着くと、まずは下町ハイボールを注文して喉を潤した。一口飲んでほっと一息つくと、改めて壁に貼られたメニューを眺めてみる。刺身から焼き物、揚げ物、つまみ系まで実に豊富な品揃えで、どれを頼むか迷ってしまうほどだ。
悩んだ末に、アジの刺身、つくね串、珍味丸干し、そして気になっていたもんじゃグラタンを注文した。料理が運ばれてくるまでの間も、女性店員さんたちのテキパキとした働きぶりを眺めているだけで楽しい。下町の居酒屋らしい活気があって、居心地がいい。

美しく盛り付けられた「鯵の刺身」450円
まず最初に運ばれてきたのがアジの刺身。新鮮な鯵の身が美しく盛り付けられ、おろし生姜が添えられている。生姜を醤油に溶いて鯵につけて食べると、身の甘みと生姜の辛みが絶妙にマッチする。脂ののった鯵の身は口の中でとろけるように柔らかく、さっぱりとした後味が心地よい。

鶏肉の旨味とニラの風味がたまらない「ニラなんこつつくね」360円
続いて運ばれてきたにらなんこつつくね串は、見た目からして食欲をそそる一品。緑色のニラがたっぷり入ったつくねは、焼き上がりも香ばしい。一口かじると、鶏肉の旨味とニラの風味、そしてなんこつのコリコリとした食感が楽しめる。緑色しているだけで身体に良いはずという単純な理由で選んだが、これが意外にも絶品だった。甘辛いタレが絡んだつくねは、ビールにもハイボールにも合う。

噛むほどに旨味が口の中に広がる「珍味丸干し」380円
珍味丸干しは、炙ったうるめいわしの丸干しである。香ばしく炙られた小魚は、噛むほどに旨味が口の中に広がる。頭から尻尾まで丸ごと食べられるので、カルシウムもたっぷり摂取できそうだ。こういうシンプルなつまみこそ、酒の肴としては最高である。塩気が程よく効いており、酒が進む進む。

ベビースターのサクサクした食感がアクセント「もんじゃグラタン」480円
そして最後に、ずっと気になっていたもんじゃグラタン。これは一体どんな料理なのかと思っていたが、実際に食べてみて驚いた。もんじゃ焼きの具材をグラタン風に仕上げた創作料理で、ベビースターと紅しょうがが入っているのが面白い。チーズの風味ともんじゃの味が意外にもマッチしており、東京下町ならではのB級グルメといった感じだ。ベビースターのサクサクした食感がアクセントになって、最後まで飽きずに食べられる。
こういう昔ながらの居酒屋で、地元の人たちと肩を並べて飲む時間は何物にも代えがたい。値段もリーズナブルで料理も美味しく、何より店の雰囲気が最高だ。また近くに来ることがあったら必ず立ち寄りたいし、読者の方々にもぜひ一度足を運んでもらいたい名店である。
この店のまとめ
- 昭和24年創業の老舗大衆酒場
- 女性店員のちゃきちゃき接客
- リーズナブルな価格設定
基本情報
- 店名:岩金
- 住所:東京都墨田区東向島6丁目13−10
- 電話番号:03-3619-6398
- 営業時間:17:00~22:00
- 定休日:月・火曜日
- 予算:2,000円位
- 駐車場:なし
営業時間・定休日に関しては、当時の情報となり政府措置やお店の都合により変わる可能性があります。本記事より極力店舗の電話番号も掲載しますので、事前に確認してから訪問することをおすすめします。
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