千葉市若葉区「千葉家」家系らしく無い？あっさりスープと柔らかチャーシューが人気のラーメン店

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家系らしく無い？あっさりスープと柔らかチャーシューが人気のラーメン店

家系らしく無い？あっさりスープと柔らかチャーシューが人気のラーメン店

ラーメン界というのは面白いもので、直系だのインスパイヤだのと、系統や派閥がはっきりしている。まるで茶道の裏千家・表千家、華道の池坊・小原流みたいなものだ。家系ラーメンにしたって「吉村家直系」だとか「六角家系」だとか、まるで武道の流派のように語られる。ラーメン一杯にそこまで歴史やルーツを感じられるのは、日本の食文化ならではだろう。そんな家系ラーメンの中でも、今回訪れた千葉市若葉区の「千葉家」は、ちょっと毛色が違う。

みつわ台駅から歩いて数分。住宅街の一角に店を構える「千葉家」は、1999年創業の老舗だ。本牧家出身というから、正統派の家系ラーメンの血統を引いている。だが、そのスープは意外にもあっさりとしていて、家系初心者でも食べやすい。そんな評判を聞いて、足を運んでみることにした。

店の雰囲気

店の前に着くと、すでに数人が外で待っている。平日の昼間だというのに、この人気ぶり。さすが千葉を代表する家系ラーメンの名店だけある。行列に並ぶ前に、まずは店内に入って食券を買うスタイルだ。

店内に入ると、券売機が目に入る。メニューはシンプル。ラーメン、チャーシューメン、つけ麺といった定番に加えて、トッピングもいろいろと選べる。今日はラーメンにほうれん草トッピング。券売機で食券を購入し、外で待つ。

数分後、店内へ案内された。カウンター席のみの店内は、清潔感があって居心地がいい。壁には有名人のサインがいくつも飾られている。地元だけでなく、遠方からもファンが訪れる店なのだろう。

見た目からしてあっさりが伝わってくる「ラーメン」９５０円

席に座って待つこと数分。目の前に運ばれてきたラーメンを見て、まず驚いた。家系ラーメンといえば、こってりとした濃いスープを想像するが、この店のスープは透明度が高い。表面に浮かぶ油も控えめで、見た目からして「あっさり」が伝わってくる。海苔が４枚、ほうれん草、そして大きなチャーシューが１枚。シンプルだが、バランスがいい。

一口スープをすすってみる。おお、これは確かにあっさりしている。豚骨と鶏ガラの旨味はしっかりと感じられるのに、油っぽさがない。醤油の風味も強すぎず、最後まで飽きずに飲み干せそうな味わいだ。家系特有のガツンとくる重厚感はないが、その代わりに繊細な旨味が口の中に広がる。これなら女性やお年寄りでも楽しめるだろう。

酒井製麺の中太ストレート麺を使用

麺は中太のストレート。酒井製麺を使用しているとのことで、もちもちとした食感がいい。スープとの絡みも良く、一口食べるごとに満足感が高まる。硬さは普通で注文したが、次回は少し柔らかめでもいいかもしれない。

そして、このラーメンの真骨頂とも言えるのが、チャーシューだ。箸で持ち上げた瞬間、その柔らかさに驚く。ほろほろと崩れそうなほど柔らかく、口の中に入れるとすぐにほどけていく。豚肉の旨味がじんわりと染み出てきて、これだけでご飯が食べられそうだ。脂身と赤身のバランスも絶妙で、しつこさがない。これは本当に美味い。チャーシュー目当てで訪れる人がいるのも納得だ。

別皿で運ばれてきた「ほうれん草」も見逃せない。200円という価格を見て「少し高いかな」と思ったが、これが驚きのボリュームだった。約1束分のほうれん草がどっさりと盛られている。これだけの量があれば、スープに入れても良し、そのまま食べても良し。栄養バランスも考えられていて、ラーメンを食べながら野菜もしっかり摂れる。

別皿で提供される理由を考えて、ハッとした。これだけの量を最初からラーメンに入れてしまうと、スープが冷めてしまう。だから別皿なのだ。客のことを考えた細やかな気遣いに、この店の誠実さが感じられる。少しずつラーメンに加えながら食べると、ほうれん草のシャキシャキ感とスープの旨味が合わさって、また違った味わいが楽しめる。

家系ラーメンといえば、濃厚でこってり、食べ終わった後に胃にずっしりとくるイメージがある。だが、この「千葉家」のラーメンは違う。あっさりとしたスープのおかげで、最後の一滴まで美味しく飲み干せるし、食後も胃もたれしない。これなら何度でも通いたくなる。

実際、この店には20年以上通い続けているファンも多いという。その理由がよくわかる。派手さはないが、丁寧に作られたラーメンには、確かな技術と愛情が感じられる。流行りのラーメンではなく、長く愛される味。それがこの店の魅力なのだろう。

私もまた来ようと思う。次回はチャーシューメンを試してみたい。あの柔らかいチャーシューがたっぷり乗ったラーメンを想像するだけで、よだれが出そうだ。千葉市にお住まいの方、みつわ台に用事がある方は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。行列に並ぶ価値は十分にある。家系ラーメンの新たな一面に出会えるはずだ。