割烹着スタイルの女将がカッコいい!山谷の町で見つけたレトロ酒場
東の山谷、西の西成。どちらも一昔前はドヤ街として知られ、労働者たちの憩いの場として栄えていた街だ。時代は変わったものの、その土地に根付いた飲み屋文化は今でも色濃く残っている。特に山谷界隈は、昭和の香りを感じられる酒場がひっそりと営業を続けている貴重なエリア。再開発が進む東京の中で、こうした古き良き時代の面影を残す街は本当に少なくなった。そんな山谷で偶然見つけたのが、清川にある「大衆酒場 山酔」だった。南千住駅から歩いて数分、住宅街の一角に佇むこの店は、まさに隠れた名店といった趣だ。通りを歩いていると、なんとも懐かしい看板と暖簾が目に飛び込んできた。一歩足を向けてみると、そこには昭和の匂いがプンプンする、まさに探していた酒場があった。
店の雰囲気
重い引き戸を開けて店内に足を踏み入れると、まさに昭和そのものの空間が広がっていた。木製のカウンターに小上がりが数席、壁には年代物のポスターや写真が貼られている。天井から下がる電気の優しい光が、店内を温かく照らしていた。

レトロ酒場ではシンプルな割り方がいい「焼酎水割り」400円
カウンター席に腰を下ろすと、手書きのメニューが目の前に置かれている。まずは焼酎の水割りを注文して、歩き疲れた喉を潤すことにした。氷の音がカランと響いて、それだけで気持ちが落ち着いてくる。
注文を取りに来てくれたのは、割烹着姿の女将さん。きちんと髪をまとめ、白い割烹着を身にまとった姿は、まさに昭和の母ちゃんそのもの。その凛とした佇まいがなんともカッコよく、一瞬で昭和の時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥った。てきぱきと動く手際の良さと、どこか懐かしい口調での接客。この人がこの店を切り盛りしているのだろう。そんな風格が感じられる女将さんだった。きっと何十年もこの場所で地域の人たちに愛されてきたのだろう。
運ばれてきた料理を見ると、どれも家庭的な見た目ながら、丁寧に作られているのがわかる。特に野菜の切り方ひとつとっても、手慣れた技が光っている。派手さはないが、確実に美味しそうな料理ばかりだった。

シャキシャキとした食感が残る「ほうれん草のお浸し」350円
ほうれん草のお浸しは、茹で加減が絶妙で、シャキシャキとした食感が残っている。上にのったかつお節の香りが鼻に抜けて、さっぱりとした味付けが酒のつまみにぴったりだった。家庭的な味だが、それがまた心地よい。

ピリッとした青唐辛子の辛さが絶妙「青唐玉子焼き」400円
青唐玉子焼きは、一口食べて思わず「旨い!」と声が出た。ピリッとした青唐辛子の辛さと、ふんわりとした玉子の甘さのバランスが絶妙で、辛いけれど後を引く味わい。この絶妙な塩梅は、長年の経験がないと出せない味だろう。
店内には私以外にもう1名のお客さんがいるだけで、静かなテレビの音が心地よく流れている。画面には懐かしいドラマの再放送が映っていて、なんとも言えない郷愁を誘う。特別な会話があるわけでもないが、この空間にいるだけで何か懐かしい気持ちになってくる。都会の喧騒を忘れさせてくれる、そんな時間が流れていた。
こういう店は本当に貴重だ。チェーン店では絶対に味わえない、人の温もりがある酒場。私もまた機会があれば立ち寄りたいし、読者の方々も清川界隈に足を向ける機会があれば、ぜひ一度訪れてみてほしい。昭和の匂いを感じられる、数少ない酒場のひとつだから。きっとあなたも、この店の持つ独特の魅力に心を奪われるはずだ。
この店のまとめ
- 昭和レトロな雰囲気
- 割烹着女将が印象的
- 庶民的な価格設定
- 家庭的な手作り料理
- 静かで落ち着ける空間
基本情報
- 店名:大衆酒場 山酔
- 住所:東京都台東区清川2-34-6
- 電話番号:03-3873-2498
- 営業時間:17:00-21:00
- 定休日:火曜日
- 予算:1,000円~2,000円
- 駐車場:なし
営業時間・定休日に関しては、当時の情報となり政府措置やお店の都合により変わる可能性があります。本記事より極力店舗の電話番号も掲載しますので、事前に確認してから訪問することをおすすめします。
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