沖縄市久保田「セニョールターコ」手頃な価格で本場メキシコ料理店

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手頃な価格で本場メキシコ料理店

手頃な価格で本場メキシコ料理店

友人が「沖縄の海、最高すぎる！お魚いっぱいおるよ！」と興奮しながら、iPhoneXRで海中撮影をしまくっていた。シュノーケリングしながら熱帯魚の群れを撮り続けていたら、気がついた時にはスマホの電源が入らなくなっていた。防水ケースに入れていないし、XRではさほど防水機能が高くないことを知らなかった。多分どこからか浸水したのだろう。まさに海の魔力に取り憑かれて、スマホまで海の底に沈めてしまったようなものだ。

「ちょっと時間をあければ電源はいるよ」と気休めの言葉を皆でかけて、帰り道の途中に向かったのがセニョールターコ。壊れたスマホのことは一旦忘れて、沖縄らしいメキシコ料理を味わいに行くことにした。プラザハウスショッピングセンターという、なんとも懐かしい雰囲気のショッピングモールは1954年創業という歴史があり、その一角に店舗がある。

店の雰囲気

プラザハウスにもオープンして約40年。同じように歴史を刻んできたこの老舗タコス屋「セニョールターコ」も、すっかりこちらではおなじみの老舗。店内にはタコス発祥の地、メキシコを連想させる品々がディスプレイされており、かなりの年季のを感じさせる。

扉を開けて店内に足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたかのような感覚に包まれる。メキシカンな雰囲気が漂う店内は、決して新しくはないが、それがかえって味のある空間を演出している。壁にはメキシコの民芸品やカラフルな装飾が飾られ、どこか懐かしさを感じさせる。テーブル席が中心の構造で、厨房との距離が近く、調理する音や香りがダイレクトに伝わってくる。

年季の入ったカウンター。可愛いランプと場所柄、日本語・英語の表記があるメニュー

カウンター上には古めかしいメニューボードが掲げられ、タコス、タコライス、エンチラーダなど本格的なメキシコ料理が並んでいる。

平日の昼下がりにも関わらず、次々とお客さんが入ってくる様子を見ると、この店の人気ぶりがうかがえる。

メニューを眺めながら悩んだ末、やはり看板メニューのタコライスセットをオーダーすることに決めた。730円という価格で本格的なメキシコ料理が味わえるなら、これほどお得なことはない。注文を終えて、料理が運ばれてくるのを待つ間、店内の雰囲気にすっかり馴染んでしまった自分がいる。

山盛りポテトがうれしい「タコライスセット」730円

待つこと約10分、運ばれてきたタコライスセットを見て、まず驚いたのはそのボリューム感だった。プレートの上には色鮮やかなタコライスがメインとして鎮座し、横にはタコス1個とオニオンリング2個、そしてソフトドリンクが付いてくる。この内容で730円は確実にコストパフォーマンスが高い。

タコライスは見た目からして本格的で、白いご飯の上にスパイシーなひき肉、レタス、トマト、チーズがバランスよく盛られている。彩りも美しく、食欲をそそる仕上がりだ。一口食べてみると、ひき肉の旨味とスパイスの効いた味付けが口の中に広がる。辛さは程よく、沖縄県民に親しまれるような優しい味わいに調整されている感じがする。

ご飯との相性も抜群で、一口一口が満足感を与えてくれる。レタスとトマトの新鮮な食感がアクセントとなり、チーズのまろやかさが全体をまとめている。これぞ沖縄のタコライスという王道の味わいながら、どこか家庭的な温かさも感じられる。量も十分で、男性でも満足できるボリュームだ。

セットに付いてくるタコスも侮れない。タコスの生地は小麦粉とトウモロコシ粉をブレンドし沖縄県民に親しまれるような生地で、スパイシーなソースも絶品、食感、味もよく美味しいタコスという評判通り、生地がモチモチとしていて、中の具材との調和が素晴らしい。スパイシーなソースが効いているが、決してしつこくなく、最後まで美味しく食べられる。

オニオンリングもサクサクとした食感で、揚げ油の質の良さが感じられる。セットの一品としては十分すぎるクオリティで、これだけでも単品で注文したいくらいの出来栄えだ。全体を通して、この価格でこの内容なら文句のつけようがない。まさに地元民に愛され続ける理由がここにあるのだと実感した一皿だった。