お笑い芸人も通う、カツカレー激安レトロ食堂
高円寺の中央線高架下に佇むレトロな食堂「タブチ」。真っ赤な看板と日除けテントが目印のこの店は、地元民だけでなく多くの芸人たちにも愛される、知る人ぞ知る名店だ。
2021年6月放送のテレビ朝日「アメトーーク!高円寺芸人」では、アルコ&ピースの平子祐希さんが常連店として紹介。「高円寺の夢追い人はみんな行ってる」と絶賛し、「安くてボリューミーな店っていっぱいあるけど、その最たるもの」と語った。カレーライスが450円で出てくる皿は「スケボーの板ぐらい」の大きさ、チキンも「ドデカくて」という表現に、平子さんの愛着が伝わってくる。番組の収録当日も昼にこの店を訪れていたというから、相当な常連ぶりだ。
他にも空気階段の鈴木もぐらさんをはじめ、多くの高円寺芸人たちがこの店を利用している。テレビ東京「タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって」、日本テレビ「ヒルナンデス」、テレビ東京「出没!アド街ック天国」など、数多くのメディアにも取り上げられてきた。芸人たちが足繁く通う理由は、単に安いからだけではない。売れない時代を支えてくれた味、仲間との語らいの場、そして温かい人情――この店には、そんな思い出が詰まっているのだろう。
店の雰囲気
高円寺駅北口から高架下の「高円寺ストリート」を阿佐ヶ谷方面へ数分歩くと、赤地に黄色で「ラーメン&カレー」と書かれたファサードが目に入る。その下には白抜きで「タブチ」の文字。店先には年季の入った食品サンプルが並び、昭和の空気を色濃く残している。
店内に足を踏み入れると、左手が厨房、右手にテーブル席という配置。4人掛けのテーブルが4卓と、中央に”ぼっち席”と呼ばれる1人用テーブルが1卓。磨き込まれた清潔感のある空間には、レトロな佇まいが心地よく広がる。相席も当たり前という昔ながらのスタイルが、どこか懐かしい。
カウンターに近づいてメニューを確認すると、驚くべき価格設定に目を疑う。ラーメンやカレーが450円、カツカレーが650円。店頭に券売機があるが、現在は故障中のため口頭注文となっている。奥さんがひとりで切り盛りしているこの店では、注文を伝えると席で待つスタイル。水はセルフサービスだ。
1988年創業のこの店は、元々は店主の田渕秀治さんと奥さんの玲さんで営まれていた。しかし2022年4月に田渕さんが他界。一度は閉店も考えたという玲さんだったが、常連客たちの「このままじゃ困る」「続けてほしい」という声に背中を押され、ワンオペでの営業を決意したという。銀座でコック経験を持つ田渕さんの半世紀以上の料理人魂は、今も玲さんの手によって受け継がれている。

甘めのルーと揚げたてのカツが絶妙にマッチする「カツカレー」650円
テーブル番号で呼ばれ、カウンターに料理を取りに行く。運ばれてきたカツカレーは、想像以上の大きさだった。30cmはあろうかという大皿に、たっぷりとカレーが盛られている。その上には黄金色に輝く揚げたてのカツ。この圧倒的なボリュームと、価格のギャップに思わず笑みがこぼれる。
まずはカツから。衣はサクサクと軽快な音を立て、中からはジューシーな肉汁が溢れ出す。揚げたてならではの香ばしさが鼻孔をくすぐり、食欲をそそる。カツの厚みもしっかりあって、噛むごとに肉の旨味が口の中に広がっていく。この値段でこのクオリティ、と思わず唸ってしまう。

甘めの味わいのカレー
カレーは甘めの優しい味わい。よく煮込まれた玉ねぎの透明感が、カレー全体にまろやかさを与えている。柔らかく煮えたジャガイモも、ホクホクとした食感で心地よい。辛さはかなり控えめだが、卓上に置かれた辛みスパイスで好みに調整できるのがありがたい。ひと振りするだけで、カレーの表情がガラリと変わる。甘さと辛さのバランスを自分好みに整える楽しみも、この店の魅力のひとつだ。
カレーとカツを一緒に口に運ぶと、甘めのルーと揚げたてのカツが絶妙にマッチする。カツの衣にカレーが染み込み、一体となった味わいが何ともいえない。30cmの大皿を前に「食べきれるかな」と一瞬不安がよぎったが、気づけば無心でスプーンを運んでいた。
この味、このボリューム、そしてこの価格。高円寺という街で夢を追う若者たちや、売れない時代を過ごす芸人たちにとって、この店がどれほど心強い存在だったか――カツカレーをひと口食べるごとに、その理由が身に染みて分かる。
食後は食器をカウンターに返却。ごちそうさまでした、と声をかけると、玲さんが優しい笑顔で返してくれた。
タブチは間違いなく、また訪れたくなる店だ。高円寺に用事がある時は、ぜひこの赤い看板を探してほしい。お財布に優しく、お腹も心も満たされる――そんな素敵な時間が、ここにはある。
この店のまとめ
- 驚異のワンコイン以下グルメ
- 芸人御用達の高円寺名店
- 昭和レトロな高架下食堂
- ワンオペ女性店主の人情
- 大盛り30cm皿のボリューム
基本情報
- 店名: ラーメン&カレー タブチ
- 住所: 東京都杉並区高円寺南3-67-1
- 電話番号: 03-3337-4186
- 営業時間: 11:00~20:30(L.O.20:00)
- 定休日: 日曜日(※不定休の場合もあり)
- 予算: 450円~750円
- 駐車場: なし(近隣にコインパーキングあり)
営業時間・定休日に関しては、当時の情報となり政府措置やお店の都合により変わる可能性があります。本記事より極力店舗の電話番号も掲載しますので、事前に確認してから訪問することをおすすめします。
ギャラリー
- どれも破格の値段
- 高架下にある店舗
- 食品サンプルが一層のレトロ感
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