カラフルメニューが圧巻な角打ちで昼飲みを満喫
池袋の街を歩いていると、時代の流れとともに変わりゆく街並みを実感する。高層ビルが立ち並び、新しい商業施設やチェーン店が次々とオープンしていく一方で、昔ながらの個人商店や古い建物も健在だ。特に西池袋の裏通りには、昭和の香りを漂わせる店舗がまだまだ点在している。そんな中で、ひときわ存在感を放つのが今回紹介する「三兵酒店」である。
創業から約50年、池袋を代表する角打ち店として、多くの人に愛され続けてきたこの店。池袋で飲む人なら一度は目にしたことがあるのではないだろうか。変わりゆく池袋の中で、頑なに昭和の雰囲気を守り続けるその姿は、まさに街の生き証人といえる存在だ。高度経済成長期からバブル時代、そして令和の現在まで、三代目のご主人がお一人で切り盛りされている老舗の酒屋角打ちは、時代が変わっても変わらぬ魅力で人々を迎え続けている。
店の雰囲気
午後の3時過ぎ、三兵酒店の中に足を踏み入れる。店内は立ち飲み用のカウンターがあり、20名利用できるかどうかの空間で、コンパクトながらも温かみのある雰囲気が漂っている。先客数名がカウンターに立って静かに杯を傾けている光景は、なんとも味わい深い。

壁一面に貼られたメニューを見上げると、その圧倒的な情報量に圧倒される。手書きのポップなメニューは、まさにカラフルという表現がぴったりだ。色とりどりの紙に書かれた料理名と値段が、まるでアート作品のように壁を彩っている。これだけでも十分に楽しめそうな雰囲気だが、まずは喉を潤すことから始めよう。
「赤星ください」と声をかけると、冷えた赤星大瓶が手際よく提供される。グラスに注がれたビールを一口飲むと、乾いた喉に冷たいビールが染み渡る。ああ、これだよこれ。昼飲みの醍醐味がここにある。立ち飲みカウンターで飲むビールは、なぜこんなにも美味しく感じるのだろうか。
一息ついて改めて壁のメニューを眺めてみる。つまみメニューはどれも驚くほどの激安で、200円、300円という価格帯がずらりと並んでいる。その中でも目を引いたのが「ナポリタン 250円」の文字。酒屋でナポリタンとは、なかなか珍しいメニューだ。「ナポリタンお願いします」と注文すると、ご主人が奥の調理場で手際よく準備を始めてくれた。

料理が出来上がるとカウンターまで取りにいくシステム。出来上がったナポリタンは皿がかなり熱いようで、下に敷かれたお菓子の蓋を持つようにと気遣いをいただく。湯気を立てながら目の前に置かれた一皿は、見た目にも食欲をそそる。トマトソースの赤と、具材の彩りが美しく、まさに昔ながらの喫茶店ナポリタンといった風情だ。
箸で口に運ぶと、懐かしい味が口いっぱいに広がる。麺はほどよいコシがあり、トマトソースは甘めの味付けで昭和を感じさせる仕上がり。ピーマンやハム、玉ねぎといった定番の具材がしっかりと入っており、それぞれの食感と味が楽しめる。特に印象的だったのは、ソースの絡み具合。麺一本一本にしっかりとソースが絡んでいて、最後まで飽きることなく食べられる。ナポリタンを食べながら赤星を飲み進めていると、なんとも言えない幸福感に包まれる。
訪れる度に三兵酒店で過ごす時間が愉しくて、気づいた時には大好きになっていたという口コミを見たことがあるが、まさにその通りだと実感する。初めて訪れる人にとっては少し敷居が高く感じられるかもしれないが、一度足を踏み入れてしまえば、その魅力の虜になってしまうことは間違いない。
この三兵酒店は、まさに大人の駄菓子屋という表現がぴったりの店だ。リーズナブルな価格で本格的な料理とお酒が楽しめ、昭和の雰囲気を存分に味わえる貴重な空間。また必ず来ようと心に誓いながら店を後にした。読者の方も池袋に立ち寄る機会があれば、ぜひ一度この三兵酒店に入ってみて欲しい。きっと新しい発見と、忘れられない時間を過ごせるはずだ。
この店のまとめ
- 激安価格設定
- カラフル手書きメニュー
- 昭和レトロな雰囲気
- 立ち飲みカウンター
- 創業50年の老舗
基本情報
- 店名:三兵酒店
- 住所:東京都豊島区西池袋1-31-5
- 電話番号:03-3971-4662
- 営業時間:15:00~23:00(月~土)
- 定休日:日曜日
- 予算:1,000円前後
- 駐車場:なし(近隣のコインパーキングをご利用ください)
ギャラリー
- 駄菓子のつまみも多く並ぶ
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