パン職人に転職しようと考えている人達へ|元パン職人が明かす生計を立てる難しさ

初めに言っておきますが今回も呑み歩きブログでなくてすみません。(吞み歩きファンの方は読み飛ばしてくださいね)

実は自分、今の仕事に着く前はパン職人をやっていました。自営ではなくて雇われパン職人でしたけど。遡ること数十年前、年齢は27歳くらいだったと思います。当時勤めていた会社を辞め、パン職人の道を選んだのです。当時子供がもう2人居て、まだ保育園に通っていたのを覚えていて、これから小学校・中学校に行くに連れてだんだんとお金もかかってくる時期になんで安定していた会社を辞めたのかというと、当時の上司に言われた一言が胸に「深く・・・深く・・・」突き刺さってしまったからです。その一言とは、

君は高校しか卒業してないから、どんなに頑張っても主任止まりだな。まあがんばれや。

と、入社して間もなくその一言をぶつけられてしまったのです。それでもその後何年かはその会社で仕事を教えてもらい、社会人としてのイロハを学んだので全く後悔してませんがね。

その後、数年間は周りの大学卒の同期が微妙にベースアップが多かったり、役職が付いていったりしてじわじわと差がついていったのを覚えています。同じ仕事をしていても給料や昇進のスピードが違ってくる、その時あの上司の言葉を思い出し「あれは本当だったんだな」と再認識したんだよね。

そして自分は会社を辞める決意をした。念のための保険として会社在籍中に「大型」の運転免許を取って、最悪仕事が「上手く見つからない」「長続きしなかった」場合にはトラックドライバーでもやって生計を立てようと思ってた。そして会社を辞めて転職活動を始めたんだよね。今考えれば次の職場が決まってから辞めれば良かったと思うけど、そういう気転が効かなかった(汗)

bread-making-1039261_1280

案の定、すぐに仕事が見つからず1か月以上プー太郎状態。色んなパン屋に飛び込んで求人はないか?聞いてあるいたり、求人誌を見て(その当時「ガテン」というのがあった)片っ端から電話を掛けてみたけどダメだった。それからまた1か月程経過し、プー太郎も2ヶ月が過ぎようとした時、やっと一つの街のパン屋で雇ってもらえることが決まった。

さて、何で自分が脱サラをしてパン職人になろうと決めたかだけど、単純にパンが好きだから・・・(汗)こういう仕事ってやっぱり好きでないと出来ない・続けることが難しい仕事なんだよね。だから楽観的に見えるけどそんなに間違った方向ではなかったと思ってる。

そして、晴れてパン職人として働き始めたのだけど、その内容は過酷そのものだった。子供の唄で「朝一番早いのはパン屋ぁ~のおじさん♪」とあるように本当に朝が早い。仕事は夜中の2時から始まる。朝なんてレベルではない、夜中だ。店につくと窯の電源を入れ、前日に仕込んでおいた生地を分割し、成形を始める。作るパンは何十にも及ぶ。以下は参考に一部を書き出してみた。

  • 食パン(3種)
  • アンパン
  • カレーパン
  • チョココロネ
  • クロワッサン
  • ウィンナーなどの惣菜パン(10種)
  • サンドウィッチ(5種)
  • バケット(フランスパン)
  • デニッシュ(5種)
  • ベーグル(4種)

などなど・・・・種類は多岐にわたる。これだけのものを朝の7時くらいまでにそろえなければいけないので職人とパートのおばさん達で総勢15名位が凄まじい勢いで働いていた。

bakery-567378_1280

当時自分がメインで任されていたのは窯。パンを焼くという担当。成形もスピードが必要だが、窯はパワーと経験と俊敏さが求められる。6台の窯に同時にパンが入り、焼き時間もバラバラで設定温度も異なる焼きは本当に神経をすり減らす。前後を入れ替えたり、窯から出すのが遅れたりしたら50個くらいのパンは一瞬で売り物にならなくなる。(←何回もやって怒られたけど)

そして何よりも窯の前は暑い。暑いなんてもんじゃない、

熱い!!!(o)

冬でも基本半袖でやっているが、それでもちゃんと水分を取らないと脱水症状になってしまう。そして腕には無数の火傷。急いでいるから腕が窯のフタや鉄板に触れて、

じゅうぅぅぅぅーーーーってなっちゃう!!(T_T)

と、かなりハードな職業だったりする。その日のパンを焼き終わってからも翌日の仕込み(玉子の殻剥き・じゃがいもの皮むき・タマネギの千切り)や作業場の清掃(粉を扱うので冷蔵庫・エアコンフィルターは毎日清掃しないと目詰まりする)、道具の洗浄(窯や鉄板)、翌日パンを入れる袋への値札シール貼りなど仕事は山ほどあった。そして身体にはバターやシナモンの匂いがこびりついて風呂に入っても取れない。仕事が終わるころにはもうクタクタになってしまう。そんな大変な仕事なんだけど、大抵それに見合う給料をもらうことが出来ない。パン一つ一つの値段を見れば分かると思うが、単価が安く、そんなに売上が上がらない商売だからだ。自分の働いていたパン屋の待遇は

  • 定時が217
  • 給料が手取りで18万円
  • 遅刻1回に付き500円マイナス
  • ボーナスなし
  • 週休1日

良かった点と言えば、子供を保育園に迎えにいくことが出来たことぐらいで、後は給料も安いしとてもじゃないけど生計を立てるのが難しかったし、事実約2年で蓄えの殆どが飛んでいってしまったしね。また一番辛かったのは家族の生活リズムが狂ってしまったこと。なんせ、2時出勤しなければいけないのだから20時には消灯という形になってしまった。これではとてもやっていけないという事になりパン職人の道はあきらめることになってしまった。

man-76196_1280

もしこれを読んでいる人が、独身で若ければ(20代前半とか)パン職人を目指して早く技術を習得すれば自分の店を持つチャンスはあると思う。ただ、家庭を持っていたり、子供がいたりするとかなりの覚悟と蓄えがないと生活が成り立たなくなってしまう。パン職人という職業は一度自分で店を持ってしまえば、定年もないし一生食べていくことが出来る商売だと思う。全ての職人に言えることだと思うけど、それは可能な限り早く開始しておかないと歳を重ねれば重ねるほど、難しくなってくるんだよね。

最後にパン職人をやっていた2年間は決してマイナスの事ばかりでは無かった。蓄えは無くなってしまったけど、子供が小さい頃に世話をしてあげられたことや、パン作りの技術が身に着いたこと。ケーキも焼けるようになった。チャンスがあったら定年後にでも小さなパン屋でも開いて生活していけたらなと思う。

この話で分かったこと

  • パン職人の仕事は大変
  • 早朝(夜中)出勤はあたりまえ
  • 給料はかなり安い
  • 生活のリズムが他の人と合わなくなる
  • 職人をやるなら可能なかぎり早いうちに

関係するリンク

世界の夢のパン屋さん

情報日記的なもの
この記事が良かったら「いいね」をしよう!
記事の更新や秘話をつぶやいていますのでフォローをお願いします
広告
For Your Info

コメント